
【2025NBAプレイオフ】激突!昨年の雪辱か、ホームの勢いか?ペイサーズ対バックス第1戦
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NBAプレイオフ2025がついに開幕しました。世界中のバスケットボールファンが注目するポストシーズンの戦いが始まり、各チームがチャンピオンシップを目指してしのぎを削ります。ウェスタン・カンファレンス1回戦では、レギュラーシーズンをリーグ最高の68勝14敗という圧倒的な成績で駆け抜けた第1シードのオクラホマシティ・サンダーが、ホームのペイコム・センターにメンフィス・グリズリーズを迎える注目のシリーズが幕を開けました。
サンダーは、MVP最終候補にも名を連ねるシェイ・ギルジアス・アレクサンダー(SGA)を中心に、ジェイレン・ウィリアムズ、チェット・ホルムグレンといった才能豊かな若手が揃う、今シーズン最も勢いのあるチームの一つです。対するグリズリーズも、爆発的な得点力とカリスマ性を持つジャ・モラントを擁し、ジャレン・ジャクソンJr.、デズモンド・ベインといった実力者を揃える強豪です。若きスターたちが激突するこのシリーズの行方を占う上で、4月21日(日本時間)に行われた第1戦は非常に重要な意味を持つ一戦であり、多くのファンが固唾を飲んでその展開を見守りました。グリズリーズは、厳しいプレイイン・トーナメントを勝ち上がってこの舞台に駒を進めており、その勢いをプレイオフ本戦に持ち込みたいところでした。
試合開始のティップオフから、アリーナはプレイオフ特有の熱気に包まれました。序盤は両チーム一歩も譲らず、互いにリードを奪い合う激しい攻防が繰り広げられました。サンダーのSGA、グリズリーズのモラントといったエースが早速得点を重ね、一進一退の展開となります。
しかし、第1クォーター中盤を過ぎると、ホームのサンダーが徐々に試合の主導権を握り始めます。サンダーは、シーズンを通して磨き上げてきた堅固なディフェンスから、速いペースのトランジションオフェンスへと繋げる得意の形を次々と繰り出し、得点を重ねていきました。特に、チーム全体でのボールムーブメントが良く、オープンなショットチャンスを作り出します。対するグリズリーズは、サンダーのプレッシャーにやや苦しみ、オフェンスのリズムを掴みきれない場面が見られました。サンダーは着実にリードを広げ、第1クォーターを32-20で終え、シリーズ初戦で幸先の良いスタートを切ることに成功しました。
試合の流れを決定づけたのは、第2クォーターでした。第1クォーターで掴んだ勢いを駆って、サンダーはさらにギアを上げます。このクォーターで見せた連続20得点という驚異的なランは、まさに圧巻の一言でした。この猛攻により、サンダーはグリズリーズを完全に突き放し、試合の主導権を完全に掌握しました。
この時間帯、サンダーの強さである「チーム力」が際立ちました。SGAだけでなく、ジェイレン・ウィリアムズがアグレッシブなドライブからのダンクで会場を沸かせ、チェット・ホルムグレンがインサイドで存在感を発揮、さらにベンチから出場したアーロン・ウィギンズが効果的な得点を重ねるなど、コート上の選手たちが次々と活躍を見せました。彼らのバランスの取れた攻撃は、グリズリーズディフェンスを翻弄しました。
攻撃面だけでなく、守備面での貢献も絶大でした。サンダーは組織的なディフェンスでグリズリーズのオフェンスを完全に封じ込め、タフショットを強いる場面が続きました。特に、グリズリーズの主要な得点源であるジャレン・ジャクソンJr.に対して厳しいプレッシャーをかけ続け、彼に快適なプレーをさせませんでした。この守備の成功が、サンダーのトランジションオフェンスをさらに加速させる要因ともなりました。
その結果、前半が終了した時点でスコアは68-36。サンダーが35点もの大差をつけてハーフタイムを迎えるという、衝撃的な展開となりました。この時点で、試合の大勢はほぼ決まったと言っても過言ではなく、ペイコム・センターの観客はサンダーの圧倒的なパフォーマンスに熱狂していました。
サンダーの圧倒的な前半のハイライトはこちらでご覧いただけます(リンクは外部サイトYouTubeに繋がります。地域によっては視聴できない場合があります):
後半に入っても、試合の様相は変わりませんでした。サンダーは前半で作った大きなリードに満足することなく、高い集中力を維持し続けます。第3クォーターにはさらに点差を広げ、一時はリードが56点に達する場面もありました。
サンダーのヘッドコーチ、マーク・デイグノルトは、主力選手たちに十分な休息を与えながら、ベンチメンバーを積極的に起用しました。しかし、控え選手たちも指揮官の期待に応え、高いレベルのプレーを維持しました。チーム全体でこの日記録した37アシストという数字は、サンダーのボールムーブメントがいかにスムーズであったかを物語っています。これはチームのプレイオフ記録でもあります。
一方のグリズリーズは、最後までサンダーディフェンスの壁を打ち破ることができませんでした。オフェンスは停滞し、チーム全体のフィールドゴール成功率はわずか34.4%、3ポイントシュート成功率に至っては**17.6%**と、極めて低い数字に終わりました。サンダーのプレッシャーの前にボールを失う場面も多く、合計で22回のターンオーバーを記録してしまったことも、点差が大きく開いた要因となりました。ジャ・モラントやマービン・バグリー三世がそれぞれ17得点を挙げる奮闘を見せましたが、チーム全体での打開策を見出すことはできませんでした。
そして、試合終了を告げるブザーが鳴り響きました。最終スコアは131-80。サンダーがグリズリーズに対して51点差をつけるという、NBAプレイオフの歴史に残る記録的な大差で勝利を収め、シリーズ初戦を最高の形で飾りました。この51点差という勝利は、プレイオフの第1戦としてはNBA史上最大の点差であり、ポストシーズン全体の記録としても歴代5位タイにランクインする、まさに歴史的な圧勝劇でした。
この歴史的な大勝劇の要因は、サンダーが見せた驚異的な「チーム総合力」にあります。特筆すべきは、絶対的エースであるSGAが15得点、フィールドゴール成功率30.8%(4/13)と、彼自身のシーズン標準から見れば控えめなスタッツに終わったにも関わらず、チームがこれほどまでの圧勝を収めた点です。これは、サンダーがいかに特定のスター選手に依存しない、バランスの取れたチームであるかを証明しています。SGAが厳しいマークに遭う中でも、アーロン・ウィギンズがベンチからチーム最多の21得点(FG 9/12, 75.0%)を記録したのを筆頭に、ジェイレン・ウィリアムズ(20得点、FG 9/15, 60.0%)、チェット・ホルムグレン(19得点、FG 7/11, 63.6%)、アイザイア・ハーテンシュタイン(14得点)といった選手たちが次々とステップアップし、オフェンスを力強く牽引しました。個々の選手の活躍が噛み合い、誰が出ても高いレベルでプレーできる層の厚さが、この日のサンダーの強さの根幹にありました。
加えて、サンダーのディフェンスはこの日、完璧と言えるほどの機能性を見せました。シーズンを通してリーグ屈指と評価されてきた守備力が、プレイオフという大舞台で遺憾なく発揮されたのです。グリズリーズ全体のフィールドゴール成功率を34.4%という低い数字に抑え込んだだけでなく、相手のキープレイヤーを徹底的に封じ込めました。特に、グリズリーズのインサイドの要であり、オールスタープレーヤーでもあるジャレン・ジャクソンJr.を、わずか4得点(FG 2/13, 15.4%)に完璧に抑え込んだことは、試合の趨勢を決定づける上で極めて大きな要因となりました。サンダーのコーチ陣による周到なゲームプランと、それをコート上で忠実に実行した選手たちの遂行力の高さが光りました。
一方、グリズリーズにとっては、まさに想定外の連続、誤算続きの試合となってしまいました。最大の誤算は、やはりジャレン・ジャクソンJr.の極度の不振でしょう。レギュラーシーズンでは平均22点近くを記録し、サンダーとの対戦でも平均19.7点を挙げていた彼が、この大一番でわずか4得点に終わったことは、チームにとって計り知れない打撃でした。彼の不調は、グリズリーズオフェンス全体の停滞に直結しました。チーム全体のシュートタッチも最後まで改善の兆しが見られず、3ポイントシュートの成功率も17.6%(6/34)と低迷しました。さらに、サンダーの激しいプレッシャーの前にボールハンドリングミスを誘発され、22回ものターンオーバーを喫してしまったことも、大量失点に繋がり、大差での敗北を招いた大きな要因の一つと言えます。
この試合での主要選手のスタッツを比較してみましょう。
選手 (Player) | チーム (Team) | 得点 (PTS) | リバウンド (REB) | アシスト (AST) | FG% (FGM/FGA) |
S. Gilgeous-Alexander | OKC | 15 | 3 | 5 | 30.8% (4/13) |
Jalen Williams | OKC | 20 | 5 | 6 | 60.0% (9/15) |
Chet Holmgren | OKC | 19 | 10 | 2 | 63.6% (7/11) |
Aaron Wiggins | OKC | 21 | 4 | 2 | 75.0% (9/12) |
Ja Morant | MEM | 17 | 3 | 4 | 38.9% (7/18) |
Jaren Jackson Jr. | MEM | 4 | 3 | 2 | 15.4% (2/13) |
Desmond Bane | MEM | 9 | 2 | 0 | 25.0% (3/12) |
Marvin Bagley III | MEM | 17 | 5 | 0 | 66.7% (8/12) |
今回の試合観戦を通して、NBAでよく使われる英会話フレーズをいくつかご紹介します。
NBAプレイオフ史上稀に見る歴史的な大勝で、シリーズの先手を取ったオクラホマシティ・サンダー。若きチームが見せたこの圧倒的なパフォーマンスと勢いを、第2戦でも維持できるのかが大きな注目点です。チーム全体の自信は最高潮に達していると考えられ、ホームで連勝を狙います。
一方、屈辱的な大敗を喫したメンフィス・グリズリーズにとっては、いかに早くこの敗戦から立ち直り、修正できるかが鍵となります。特に、第1戦でわずか4得点に終わったジャレン・ジャクソンJr.の復調は絶対条件と言えるでしょう。彼が本来のパフォーマンスを取り戻せなければ、シリーズは非常に厳しいものになる可能性があります。チームとしてオフェンス、ディフェンス両面での戦略的なアジャストメントが求められます。
第2戦は、中1日を置いて4月22日(日本時間23日)に、同じくオクラホマシティのペイコム・センターで行われます。
初戦の結果だけを見ればサンダー有利は動きませんが、プレイオフは何が起こるかわかりません。グリズリーズが意地を見せ、全く異なる試合展開となる可能性も十分に考えられます。両チームの戦略、そして精神的な立て直しが試される第2戦。この注目のシリーズから、ますます目が離せません。
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