
【2025NBAプレイオフ】ナゲッツ対クリッパーズ第2戦、シリーズの行方を占う激闘の結末は?
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2025年のNBAプレイオフ、ウェスタン・カンファレンス・ファーストラウンドは、早くも大きな山場を迎えています。レギュラーシーズンをリーグ最高勝率(68勝14敗)で終えた第1シードのオクラホマシティ・サンダーが、第8シードのメンフィス・グリズリーズに対し、敵地での第1戦、第2戦で圧倒的な力を見せつけ、2勝0敗とリードしてメンフィスに乗り込んできました。
特に第1戦では、サンダーがプレイオフ第1戦史上最大となる51点差(131-80)で歴史的な大勝を飾り、グリズリーズにとっては屈辱的なスタートとなりました。続く第2戦もサンダーが118-99で勝利し、グリズリーズはホームコートであるフェデックス・フォーラムでの第3戦を、まさに「崖っぷち」の状況で迎えることになったのです。NBAのプレイオフ史において、0勝3敗からの逆転は極めて困難であり、グリズリーズにとってはこの第3戦がシリーズの行方を占う上で絶対に落とせない、文字通り運命の一戦となりました。ホームの大声援を背に、グリズリーズは意地を見せることができるのか、それとも若きサンダーがその勢いのままにシリーズ突破へ王手をかけるのか。固唾を飲んで見守る一戦が、幕を開けました。
崖っぷちに立たされたグリズリーズでしたが、ホーム・フェデックス・フォーラムの大歓声は、彼らに信じられないほどのエネルギーを与えたようです。試合開始からグリズリーズは、まるで別チームのような猛攻を見せます。第1、第2戦での鬱憤を晴らすかのように、オフェンスが爆発。特にアウトサイドシュートが面白いように決まり、前半だけで11本もの3ポイントシュートを成功させました。
この猛攻を牽引したのは、エースのジャ・モラントと、この日サプライズとも言える活躍を見せたスコッティ・ピッペン Jr.でした。モラントは持ち前のリーダーシップと得点力でチームを引っ張り、ピッペン Jr.は積極的なアタックでサンダーディフェンスを切り裂き、得点を重ねていきます。第1戦、第2戦で苦しんだジャレン・ジャクソン Jr.も、ホームの声援を受けてか、復調の兆しを見せました。
グリズリーズの勢いは止まらず、リードはみるみるうちに拡大。第2クォーターには、最大で29点もの大差をつける圧倒的な展開となります。第1クォーターを40-29、第2クォーターを37-22とサンダーを完全に圧倒し、ハーフタイムのスコアはグリズリーズ 77 - 51 サンダー。前半だけで77得点という驚異的なオフェンス力を見せつけ、フェデックス・フォーラムは熱狂の渦に包まれました。一方のサンダーは、グリズリーズの激しいプレッシャーとホームの雰囲気に呑まれたか、前半は攻守に精彩を欠き、苦しい展開を強いられました。
グリズリーズがシリーズの流れを完全に引き寄せたかに見えた前半。しかし、第2クォーター終盤、フェデックス・フォーラムを悪夢が襲います。グリズリーズが67-40と大量リードしていた場面、エースのジャ・モラントがダンクを狙って跳躍した際、サンダーのルグエンツ・ドートと接触。ドートがモラントの足元に入る形となり、空中でバランスを崩したモラントはコートに激しく落下してしまいました。リプレイを見る限り、ドートに意図はなかったように見えましたが、モラントは左臀部を強打し、激しい痛みに顔を歪めます。
モラントはこのプレイで負傷交代を余儀なくされ、診断の結果は臀部打撲(hip contusion)。この時点で彼は15分間の出場で15得点、5アシストを記録しており、チームの快進撃の中心にいました。絶対的エースの突然の離脱は、グリズリーズにとって計り知れない打撃となりました。会場の熱気は一瞬にして冷め、チームの士気にも影を落としたことは想像に難くありません。
そして、このアクシデントが試合の潮目を大きく変えることになります。後半、グリズリーズは前半の勢いを完全に失い、サンダーの猛追を許すことになりました。
最終スコア:オクラホマシティ・サンダー 114 - 108 メンフィス・グリズリーズ
この結果、オクラホマシティ・サンダーが敵地で劇的な逆転勝利を収め、シリーズ成績を3勝0敗とし、カンファレンス・セミファイナル進出に王手をかけました。
エースを失ったグリズリーズに対し、後半のサンダーは全く別のチームへと変貌を遂げました。前半の劣勢を微塵も感じさせない、怒涛の反撃を開始します。後半だけでサンダーは63得点を挙げたのに対し、グリズリーズはわずか31得点に抑え込まれました。この歴史的な逆転劇(1997年以降のプレイオフでは2番目に大きな点差からの逆転)を演出したのは、サンダーが誇る若き才能たちでした。
MVP候補のシェイ・ギルジアス・アレクサンダー(SGA)は、後半にギアを上げ、勝負どころで確実に得点を重ね、最終的にチームハイの31得点、8アシストを記録。厳しいマークとファウルトラブルに苦しみながらも、エースとしての役割を全うしました。
ジェイレン・ウィリアムズ(JDub)も、26得点、6リバウンド、5アシストとオールラウンドな活躍。得点だけでなく、重要な場面でのプレイメイクやディフェンスでもチームを支えました。
そして、逆転劇の最大の立役者の一人がチェット・ホルムグレンです。前半はわずか1得点に終わったものの、後半だけで23得点を叩き出し、勝負を決める5本の3ポイントシュートを含む24得点、8リバウンドを記録。攻守にわたる存在感で、試合の流れを完全にサンダーへと引き寄せました。
さらに、ディフェンス職人のアレックス・カルーソが、後半に重要なスティールやブロックを連発し、10得点を挙げるなど、攻守両面で大きなインパクトを残しました。ベンチから出場したアイザイア・ジョーも、貴重な3ポイントシュートを含む10得点で貢献しました。
サンダーは第3クォーターに36-18、第4クォーターには27-13とグリズリーズを圧倒。特に第3クォーターと第4クォーター序盤に見せた18-4のランは、グリズリーズのリードを一気に縮め、逆転への流れを作りました。
一方のグリズリーズは、モラント離脱後のオフェンスが完全に停滞。ピッペン Jr.が奮闘し28得点を挙げたものの、チーム全体としてはリズムを掴めず、ターンオーバーも増加。ジャレン・ジャクソン Jr.は22得点を記録しましたが、サンダーの勢いを止めるには至りませんでした。前半の爆発力が嘘のように、後半はサンダーの激しいディフェンスの前に沈黙しました。
クォーター別スコア
チーム | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 最終スコア |
OKC | 29 | 22 | 36 | 27 | 114 |
MEM | 40 | 37 | 18 | 13 | 108 |
このスコアの推移は、試合がいかに劇的に変化したかを物語っています。
試合全体のハイライトはこちらでご覧いただけます
この衝撃的な逆転劇は、いくつかの要因が複合的に絡み合った結果と言えるでしょう。
まず、最大の要因はジャ・モラントの負傷離脱です。前半のグリズリーズの快進撃はモラントの存在があってこそであり、彼の離脱はチームのオフェンスプラン、そして精神的な支柱を根底から揺るがしました。後半のグリズリーズは、モラント不在の中で新たな攻撃の形を見出すことができませんでした。
対照的に、サンダーのチームとしての成熟度と層の厚さが光りました。エースのSGAだけでなく、JDub、ホルムグレン、カルーソ、ジョーといった選手たちが、劣勢の中でも冷静さを失わず、後半に見事にステップアップしました。特にホルムグレンの後半の爆発は、サンダーが持つポテンシャルの高さを改めて示しました。マーク・デイグノルトHCのハーフタイムでの修正も見事だったと言えるでしょう。
グリズリーズにとっては、前半のホームコートアドバンテージを活かした猛攻を持続できなかったことが悔やまれます。大差をつけながらも、逆境を跳ね返すサンダーの驚異的な粘り強さと勝負強さの前に屈する形となりました。クラッチタイムでのサンダーの確実な遂行能力に対し、グリズリーズはミスも響きました。
この試合は、若きスター選手への依存度が高いチームと、複数の若手が台頭し、困難な状況でもチームとして立て直す力を持つチームとの差が、残酷なまでに浮き彫りになった一戦だったのかもしれません。サンダーにとっては、プレイオフ史に残る大逆転勝利でシリーズに王手をかけ、大きな自信を得る一戦となりました。一方、グリズリーズにとっては、掴みかけた勝利が手から滑り落ち、シリーズ敗退が目前に迫る、あまりにも痛い敗戦となりました。
今回の劇的な試合展開に関連する英語フレーズをいくつかご紹介します。英語学習の参考にしてください。
この劇的な第3戦の結果、オクラホマシティ・サンダーはシリーズ3勝0敗とし、メンフィス・グリズリーズを崖っぷちのさらに先へと追い詰めました。NBAプレイオフの歴史上、0勝3敗から逆転したチームは存在せず、グリズリーズにとっては絶望的な状況です。
さらに追い打ちをかけるのが、エース、ジャ・モラントの状況です。第3戦で負った臀部の打撲により、彼は第4戦を欠場することが報じられています。第3戦後半に見られたように、モラント不在のグリズリーズがサンダーの強力なディフェンスを相手にどのように得点を重ねるのか、非常に厳しい課題が残ります。
第4戦は、グリズリーズにとってはホームでファンの前で意地を見せ、スイープ(全敗)を阻止するための戦いとなります。ジャレン・ジャクソン Jr.やデズモンド・ベインといった主力選手が、エース不在の中でチームを牽引できるかが鍵となるでしょう。特にJJJは、第1戦、第2戦の不振から第3戦では復調の兆しを見せただけに、さらなる奮起が期待されます。
一方のサンダーにとっては、この勢いを維持し、4連勝でシリーズを終わらせたいところです。スイープを達成できれば、次のラウンドに向けて貴重な休息期間を得ることができます。しかし、若いチームであるがゆえの油断は禁物です。第3戦の前半に見られたように、グリズリーズがホームで爆発力を見せる可能性は依然として残っています。サンダーとしては、第3戦後半に見せたような高い集中力とディフェンス強度を試合開始から維持し、相手に隙を与えないことが重要になります。
若きサンダーが盤石の強さでスイープを達成するのか、それとも意地を見せるグリズリーズがホームで一矢報いるのか。第4戦もまた、注目の一戦となりそうです。
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