
【2025NBAプレイオフ】正念場の第3戦!カリー躍動、ウォリアーズが要塞チェイス・センターでロケッツを撃破しシリーズリード!
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2025年4月27日、メンフィスにあるフェデックス・フォーラムは、ただならぬ緊張感に包まれていました。NBAプレイオフ・ファーストラウンド第4戦、地元メンフィス・グリズリーズが、ウェスタン・カンファレンス第1シードのオクラホマシティ・サンダーを迎え撃つ一戦です。しかし、グリズリーズの状況は絶望的と言っても過言ではありませんでした。シリーズ成績0勝3敗、文字通り崖っぷちに立たされ、この試合に敗れればシーズン終了が決まります。ホームコートの大声援を背に、何としても一矢報いたいところです。
さらにチームを襲ったのは、大黒柱の不在という厳しい現実でした。第3戦の第2クォーター終盤、速攻からのダンクに向かったジャ・モラント選手が、相手選手との接触でコートに激しく転倒。左臀部を強打し、後半はコートに戻ることができませんでした。このアクシデントが響き、グリズリーズは最大29点あったリードを守り切れず、NBAプレイオフ史上でも稀に見る大逆転負けを喫してしまったのです。そして迎えたこの第4戦、モラント選手は試合前の最終判断で欠場が決定。幸い深刻な怪我は避けられたとの報道もありましたが、チームの魂であり、得点源であり、プレイメイクの中心であるエースを欠いて、この絶対絶命の状況を乗り越えなければならなくなりました。
対するサンダーは、若さと勢いに乗る今季リーグ最高勝率(68勝14敗)のチームです。第1戦、第2戦とグリズリーズを圧倒し、第3戦では歴史的な逆転劇を見せつけ、この第4戦に勝利すれば、全チームを通じて最初にカンファレンス・セミファイナル進出を決めることになります。シェイ・ギルジアス・アレクサンダー選手(SGA)を中心に、ジェイレン・ウィリアムズ選手、チェット・ホルムグレン選手ら才能豊かな若手が揃い、その勢いはとどまるところを知りません。
試合が始まると、エース不在のグリズリーズが意地を見せます。ホームのファンの後押しを受け、選手たちは序盤からエネルギッシュなプレイを展開。特に、モラント選手に代わってボールハンドリングを担うことが予想されたスコッティ・ピッペンJr.選手や、シリーズを通じて奮闘するデズモンド・ベイン選手らが積極的に攻撃を仕掛け、一進一退の攻防を繰り広げます。サンダーもSGA選手がいつも通り冷静に得点を重ね、試合の主導権を渡そうとしません。序盤はどちらが勝つか全く分からない、緊迫した展開となりました。グリズリーズが逆境の中で見せるこの闘争心は、プレイオフという舞台ならではの、ファンの胸を熱くさせるものでした。一方、SGA選手が序盤から安定したパフォーマンスを見せることで、モラント選手を欠くグリズリーズのディフェンスには一層のプレッシャーがかかり、サンダーにとっては試合を優位に進めるための布石となっているようにも見えました。
第2クォーター、第3クォーターに入っても、試合は拮抗した状態が続きました。どちらのチームも決定的なリードを奪えず、激しい点の取り合いとなります。グリズリーズは、この日キャリアハイに並ぶ30得点を記録することになるピッペンJr.選手が予想外の活躍を見せ、チームを牽引。ベイン選手とサンティ・アルダマ選手もそれぞれ23得点を挙げるなど、モラント選手不在の穴を埋めようと奮闘します。
一方のサンダーは、SGA選手が確実に得点を積み重ねる中、ジェイレン・ウィリアムズ選手が23得点と、重要なセカンドオプションとして機能。若きチームながら、相手の猛攻に慌てることなく、冷静に試合を進めている印象でした。
しかし、この接戦の裏で、試合の流れを決定づける静かな戦いが繰り広げられていました。それは「ターンオーバーバトル」です。この試合、グリズリーズは実に22回ものターンオーバーを犯してしまったのに対し、サンダーはわずか8回に抑えました。そして、サンダーはこのミスから確実に得点を奪い、ターンオーバーからの得点で32対9と、グリズリーズを圧倒したのです。これは、レギュラーシーズンでリーグトップクラスのスティール数を誇り、相手のターンオーバーからの得点を得意とするサンダーの強みが存分に発揮された結果と言えるでしょう。モラント選手という安定したボールハンドラーを欠いたグリズリーズにとって、サンダーのプレッシャーディフェンスはあまりにも厳しかったのかもしれません。
シェイ・ギルジアス・アレクサンダー選手の活躍はこちらのハイライトでご覧いただけます:
グリズリーズの奮闘もむなしく、サンダーはこのターンオーバーからの得点を着実に積み重ね、じわじわとリードを広げ始めます。第3クォーター終了時点でサンダーが88対85とわずかにリード。そして第4クォーター中盤、ジェイレン・ウィリアムズ選手の3ポイントシュートなどで、ついにこの試合初めてとなる二桁リード(102-92、残り5分41秒)を奪うことに成功します。最終的に2点差という僅差で決着したこの試合において、ターンオーバーからの得点差23点がいかに大きかったか。これは単なるスタッツではなく、試合の趨勢を左右する決定的な要因でした。ピッペンJr.選手らが予想以上の活躍を見せてもなお、サンダーがリードを築けたのは、このターンオーバーを誘発するディフェンスと、それを確実に得点に繋げる遂行力の高さがあったからに他なりません。
二桁のリードを許し、いよいよ後がなくなったグリズリーズ。しかし、彼らは諦めませんでした。ホームの大声援を受け、最後の反撃を開始します。ベイン選手、ピッペンJr.選手を中心に猛追し、試合終盤に再び点差を詰めていきます。
この土壇場でサンダーを支えたのは、やはりエースのSGA選手でした。グリズリーズの追撃ムードを断ち切るかのように、勝負所で次々と重要なショットを沈めていきます。特に残り30秒を切り、点差を広げたステップバックジャンパーは、試合を決めたかと思わせる圧巻のプレイでした。このショットでサンダーはリードを5点(116-111)にしたと見られます。
誰もがサンダーの勝利を確信しかけたその時、信じられないプレイが飛び出します。グリズリーズのデズモンド・ベイン選手が、ハーフコートライン付近から超ロングレンジの3ポイントシュートを成功させたのです!残り時間はわずか7.1秒。ボールがリングを通過すると、フェデックス・フォーラムは割れんばかりの大歓声に包まれ、スコアは116-114、一気に2点差となりました。
息詰まる最終盤。サンダーはインバウンドからボールを受けると、グリズリーズはすぐにジェイレン・ウィリアムズ選手にファウル。ウィリアムズ選手はこのフリースローを2本中1本成功させ、スコアは117-114となります。残り時間は6秒。3点差のサンダーは、同点の3ポイントシュートを打たれるリスクを避けるため、ベイン選手がシュート体勢に入る前に意図的にファウルを選択。これはプレイオフの緊迫した場面でしばしば見られる、計算された戦術でした。
フリースローラインに立ったベイン選手。1本目を冷静に決め、スコアは117-115。そして2本目、ベイン選手はセオリー通り、リバウンドからの逆転を狙って意図的にフリースローを外します。ボールはリングに弾かれ、コート上は最後のルーズボール争奪戦に。しかし、グリズリーズはリバウンドを確保できず、ボールがサンダーの手に渡ったところで、無情にも試合終了のブザーが鳴り響きました。最終スコア、117対115。サンダーが接戦を制しました。終盤のSGA選手の勝負強さと、それに応えたベイン選手の驚異的なショット。そして、サンダーベンチの冷静な戦術判断。プレイオフならではのドラマが凝縮された数秒間でした。
この勝利により、オクラホマシティ・サンダーはメンフィス・グリズリーズ相手に4勝0敗のスイープ(全勝)を達成。今季プレイオフ参加チームの中で、最も早く次のラウンドへの進出を決めました。敵地でのクローズアウトゲーム(シリーズを決める試合)という難しい状況、しかも第3戦での大逆転勝ちの後、そしてこの第4戦でも終盤に猛追を受けながら勝ち切ったことは、SGA選手を中心とした若いチームの成熟度と精神的な強さを証明しています。彼らが単なるレギュラーシーズンの覇者ではなく、真の優勝候補であることを示す、堂々たるシリーズ勝利でした。
一方、敗れたグリズリーズにも称賛を送りたいと思います。エースのモラント選手を欠くという最大の逆境の中、最後まで勝利を諦めずに戦い抜きました。特に、キャリアハイタイの活躍を見せたピッペンJr.選手の奮闘は、チームに希望を与えるものでした。モラント選手が出場していれば…という「もしも」を考えずにはいられませんが、彼らの見せたプライドと粘りは、メンフィスのファンの記憶に刻まれたはずです。
次のラウンドへ進むサンダーは、デンバー・ナゲッツ対ロサンゼルス・クリッパーズの勝者と対戦します。どちらが勝ち上がってくるにせよ、厳しい戦いが予想されますが、このファーストラウンドで見せた完成度と勝負強さがあれば、更なる躍進も期待できるでしょう。グリズリーズにとっては悔しいシーズンの終わり方となりましたが、この経験を糧に来季の巻き返しを誓います。
今回の熱戦の中から、バスケットボール観戦や英語学習に役立つフレーズをいくつかご紹介します。
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